時計を“自分を表現するメディア”と捉えれば、性別によって大きな違いが出ると私は思います。
男性の場合はドレスウオッチからスポーツウオッチに至るまでセレクトの幅が広いんですね。
でも実は王道が好きだったり、デザインに価値を置いていたり、機械のムーヴメントに魅力を感じていたり、と根底に流れているものは意外と変わらないんです。だから、時計からその人の美学や思想、信条を推測することができる。何を着けるか、どう合わせるかを考えずとも、自分のファッションの中に確固たるスタイルがあれば自ずと時計も選べるはずなんです。
だけど、女性の場合はわからないことが多いですね。これは服装にもいえるのですが、ときに仕事ができる女を演出したり、マニッシュだけど少しセクシーな雰囲気を出したりと、表現にも色々なバリエーションがある。だからこそ意外性も出てくるし、その振れ幅が大きいほどおしゃれに見えると思うんですよね。例えば芯の強さや男性的な印象を与えるようなビッグフェイスの時計を身につける女性には、個人的にも魅力を感じます。ドレスウオッチなら“時間を見る”ためではなく“時を忘れる”ための装飾具としてうまく取り入れる女性は素敵。時間をこちらに委ねてもらえるなんて、男冥利に尽きますからね(笑)。
山室一幸
1959年東京都生まれ。ファッション週刊紙「WWD ジャパン」で編集長を務める。ファッションジャーナリストとして様々なメディアで活躍中。
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