


時計は、身に着ける人のビジネスやプライベートに、常に寄り添っている。
時計創作の裏には、その人の人生を導き彩る存在として心地よいものであるべく、デザインにこだわり続けるデザイナーたちの技がある。
誕生から79年の歴史を誇る国内有名ブランド『CITIZEN』において新商品のデザインを手掛けるデザインマネージャー・御園昭二(みそのしょうじ)氏に、時計デザインで重視するポイントや実際のデザインの流れについての話、若手デザイナーへの期待を込めたメッセージなどをうかがった。
工業デザイナーとして、数々の時計を手掛けてきた御園氏。もともと就職活動時期から時計をデザインする仕事を志望していたという。
「学校でもそういう勉強をしていたんです。ガラスや金属などでの工芸とか、オブジェのようなものも好きでした。学生時代は、がむしゃらに好きなことをやっていましたけど、就職する時期が迫ってから、仕事にするならやはりID(インダストリアルデザイン=工業デザイン)の中でも比較的アクセサリーに近い、腕時計が良いかなと考えるようになっていきました」。
御園氏が『CITIZEN』に入社してから約15年。社会の状況は大きく変わり続けている。時計トレンドの分野において15年前と現在とでは、どんな違いがあるのだろうか。
「15年前は比較的、世代ごとでの志向がある程度はっきり分かれていましたが、最近では同世代間でも(個々の志向が)細分化されてしまっていると感じます。多様な志向を持った方たちに満足していただくのが非常に難しいと思っています」。
志向の細分化について、最近の傾向をうかがった。
「たとえばファッションでも『カジュアル』、『フォーマル』、『ビジネスの場の○○○』など、昔はシーンが分けやすかったんですけど、今はボーダーレスというか、入り組んできてしまって、時計を開発するときに、使用シーンを想定しにくくなったというのがありますね」。
こうしたニーズの多様化には、人々の生活を取り巻く情報量の変化も関係しているようだ。10代~20代の若者はオシャレが上手になっている、と御園氏は話す。
「(現代では一人の人が)色んなスタイルをするし、その移り変わりもはやい。一番流行ったものは、その後一番つまらないものになってしまいますから、切り替わり時期を読むのが難しいです。とはいえ、『どのシーンやスタイルにも合う時計』を作ろうとすると、商品の特性が薄まり、魅力のない商品になってしまうんです。魅力的な商品の開発には、使用シーンを想定して作ることが不可欠なんですね」。
| 御園 昭二 Shoji Misono | |
| 1992年 | CITIZEN入社 |
| 1992年~ | 高級品担当 |
| 1998年~ | ライセンスOEM担当(ファッションブランドの時計のデザインや有名時計店のオリジナルウオッチブランドの立ち上げを担当) |
| 2001年~ | ブラジル駐在(マーケティングや宣伝等あらゆる業務を担当) |
| 2006年~ | CITIZEN国内担当(ATTESAやPROMASTERのデザインを担当) |
| 2008年 | 2009年BASELコンセプトモデル担当、映像担当 |
| 現在 | CITIZEN国内レディース担当(デザイン統括業務) |
変化が激しい現代に対応していくため、『CITIZEN』ではプロジェクトを立ち上げている。その一部をご紹介いただいた。
「『CITIZEN製品のデザインはこういうものです』、とブランドイメージを発信していく取り組みを現在行なっています。もともと『CITIZEN』はユーザーの皆様から、安心感・安定といったイメージをすごく持っていただいていたんですけど、それに比べて『新しい』とか『カッコイイ』とか、具体的な部分のイメージが薄いらしいということが、調査結果で出てまして。このイメージを改善する活動の一環として、日本の時計を面白くするというコンセプトで、『REAL SCALE(リアルスケール)』というプロジェクトを立ち上げました。いろいろ面白いことをやっているので、上手くお客様に伝えたいですね」。
インタビュー・執筆:蓬莱 早苗(ほうらい さなえ)









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